だいこく通信 第二号「夏の号」 (平成22年7月発行)

 

ごあいさつ

 暑い季節がやってまいりました。日頃より、当神社での神明奉仕にご協力くださり、ありがとうございます。

 当神社は、大島家の先祖が江戸時代 に駒込の地にご祭神オオクニヌシノミコトをおまつりしたのが始まりです。江戸時代には、徳川家斉公が当神社に立ち寄ったのち、将軍となったことから「出世 大國」とも呼ばれたそうです。明治時代に神社としての体裁が整い、以来、一三〇年余りにわたって、多くの方々からご信仰いただいております。

社報「だいこく通信」の第二号をお届けします。拙いものではありますが、ご高覧いただければ幸いに存じます。

大國神社宮司 大島資生

大國神社のいま

当 神社では、現在、社殿、社務所の建て替えを行っております。今回の新築および境内整備の費用につきましては、旧境内地を一部売却し(北側部分)、その代金 をもって充てることにしております。売却部分には共同住宅の建築が予定されていますが、共同住宅の建築・販売・管理は買い主の建築会社がおこない、当神社 は全く関与しません。当神社は共同住宅のオーナー(大家)にはなりません。

工事日程は次のように予定されております。

 

平成22年 秋 社殿新築工事着工

平成23年 春 社殿完成

平成23年末 社務所完成・境内地整備完了

 

工事期間中は境内敷地内に設けた仮社殿におきまして、甲子祭、千人講祈祷祭などの祭礼を行なっております。崇敬者の皆様にはしばらくの間ご不便をおかけいたしますことをお詫び申し上げます。

工事完了後は、これまでよりも小ぢんまりとしたお宮となりますが、これまでと変わることなく祭礼などご奉仕してまいります。できるかぎり従来の雰囲気を保ちつつ、参拝していただきやすい環境を整えるべく、努める所存です。

今後とも変わらずご理解、ご支援をたまわりますよう、お願い申し上げます。  

 

お宮あれこれ

 神社ではご神前に季節の野菜・果物をはじめ、さまざまなものをお供えします。今回はその「お供物」にかかわるお話をしたいと思います。

 先日、国立新美術館で「ルーシー・リー展」を観ました。

Lucie Rie.jpeg  ルーシー・リーは、ウィーンに生まれ、第二次世界大戦直前に、ユダヤ人ゆえナチスの迫害をのがれてイギリスにわたり活躍した陶芸家です。写真のとおり、大 きく開いた開口部に対して、極端にすぼまった高台。彼女独特の造形ですが、見るからに不安定で、実用的なうつわではありません。ルーシーは一体何のために このような形を追求したのでしょうか。

 彼女はあるとき、博物館で古代の青 銅器を目にし、そこで用いられていた掻き落としという技法に魅せられたそうです。陶芸でいう掻き落としとは、化粧土を陶器本体の上に塗り、模様を残して周 りを削り取る技法です。そして自らの作品にも同じ手法で、執拗なまでに細かく無数の線を刻みました。そうして生まれた作品には、どこか古代の祭具を思わせ る雰囲気があります。そんなうつわを見ているうち、彼女は大きな存在に捧げ物をするための道具としてうつわを作ったのではないかと思い至りました。

 先に記した通り、お供物には米、肉、野菜など種種ありますが、いずれも、もともと命あるものであり、基本的には私達の食卓にのぼるものと同じです。食物を摂るということは、自らの命をつなぐためにさまざまな命を「いただく」ことにほかなりませんだからこそ食事の前には「いただきます」というのでしょう

 ルーシーは、生命に対する畏れを感じとっていた、古代の人々の心を表わしたかったのではないでしょうか。

 ところで、「示」という漢字はもともと祭壇を表わしていて、神の力がそこに「示」されるという意味だそうです。それで、「神」「社」など神事にかかわる漢字には「しめすへん」が使われるようです。

 また、「祭」という漢字にも「示」 が入っています。この漢字は、祭壇の上に手で肉(月)を供えている様子を表わしているという説があるそうです。祭事には供物が欠かせません。古くはいけに えを捧げることも行なわれていました。人が自分の願いや思いを神に伝えるために、命を―時として自らの命を―捧げる。このような行為は、生命というものに 対する畏怖の気持ちのあらわれです。そして、現代に生きる私たちにも同じ心が伝わっているということを、ルーシーはあらわそうとしたのかもしれません。

 ルーシー・リーは鉢だけでなく、膨 大な数の花器も残しています。花入れというのも、やはり花の命をもらって活けるもので、食物を盛るうつわと変わるところはありません。彼女の花器には時折 渦巻き文様が見られます。渦巻きの文様も、古代、永遠の象徴として用いられたと聞いたことがあります。静かにたたずむそれらの花器を味わいつつ、古代から 現代まで変わることのない、人々の思いを感じました。  

 

「金運守り」のご案内

 金運守 表.jpg  当神社のご祭神オオクニヌシノミコトは商売繁盛の神様と言われていることもあり、ご参拝くださる崇敬者の皆様の中には御商売に携わっていらっしゃるかたが 多いようにお見受けいたします。現在、経済不安が全世界的な規模にまで広がっており、お参りに見える皆様とお話ししておりましても、非常に厳しい、といっ たお話をよくうかがいます。

そこで、ご祭神のご神徳を少しでも広めたいと考え、「金運守り」を新たにご用意し、平成22年3月の甲子祭でお出ししたところ、大変ご好評をいただきました。

風水学で金運を高めると言われる黄色地に打ち出の小槌、鯛など縁起物をあしらった錦の袋に、「お宝にご縁(五円)のありますように」との願いを込めて五円玉を封入しました。一体700円です。まだ若干在庫がございますので、ご希望の方はお申し付けください。  

 

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