だいこく通信 第一号「春の号」 (平成22年3月発行)

 

ごあいさつ    

日頃より、当神社での神明奉仕にご協力くださり、ありがとうございます。

当神社は、大島家の先祖が江戸時代に駒込の地にご祭神オオクニヌシノミコトをおまつりしたのが始まりで、明治時代に神社としての体裁が整いました。以来、一三〇年余りにわたって、多くの方々からご信仰いただいております。

次項の「大國神社のいま」で詳しくご紹介するとおり、現在、当神社では社殿および社務所の建て替えを行っております。これは、当神社始まって以来の大きな事業となります。そこで、日頃よりお参りいただいている皆様に、神社が今、どのような状況にあるのかを知っていただくため、このたび、社報として「だいこく通信」を発行することといたしました。年四回程度、それぞれの季節に合わせた話題もお伝えできればと考えております。なにとぞよろしくお願いいたします。(写真は旧境内)

大國神社宮司 大島資生

 

大國神社のいま

  当神社の社殿、社務所は建築以来半世紀あまりを経て、老朽化が進み、耐震、耐火の点から、全面的な改修が必要な状況となっておりました。そこで、このたび、社殿および社務所の建て替え、さらに境内整備を行なうことといたしました。

これまでの社殿は、戦後まもない大変な時期に、諸先輩方のご尽力によって建てられた貴重なものでした。そのような建物を解体することは大変心苦しく、できるかぎり保存していきたいと考え、長い時間をかけて適切な方法を検討してまいりました。しかしながら、ご祭神に安泰におしずまりいただくこと、日頃ご参拝くださっている崇敬者の皆様に参拝していただきやすい環境を整備することを第一に考えた結果、建て替えという結論に至りました。

ただし、社殿のうち本殿部分につきましては、現在のものを保存し、新しく建築する社殿の内部にそのまま復旧する予定です。

なお、今回の新築および境内整備の費用につきましては、境内地として使用している土地を一部売却し(現在の社殿の北側)、その代金をもって充てることにしております。売却部分には共同住宅の建築が予定されていますが、共同住宅の建築・販売・管理は買い主の建築会社がおこない、当神社は関与いたしません。

 昨年末、社殿・社務所の解体工事が終了し、現在は新築工事の開始を待つばかりとなっております。社殿の完成は平成二十三年春を予定しております。それまでの間は境内敷地内に設けた仮社殿におきまして、甲子祭、千人講祈祷祭などの祭礼を行ないます。崇敬者の皆様にはしばらくの間ご不便をおかけいたしますことをお詫び申し上げます。  

できるかぎり従来の雰囲気を保ちつつ、先にも記しましたとおり、参拝していただきやすい環境を整えるべく、努める所存です。

 

お宮あれこれ〜打ち出の小槌について〜

 

 大国様といえば、右手に打ち出の小槌を持ち、左手からは大きな袋を掛けた姿が浮かびます。この打ち出の小槌は、不思議な力を持つ道具として昔話などにも登場いたします。たとえば、兵庫県芦屋市には「打出小槌町」(うちでこづちちょう)という地名があり、何でも望みのものを出してくれる打ち出の小槌に関する伝説が残っているそうです。

小槌に関係する昔話で最も有名なのは「一寸法師」でしょう。物語の終わり、鬼の落としていった小槌を姫君が振ると、一寸法師が立派な若者になる、というくだりがあります。童謡「一寸法師」(作詞:巌谷小波 作曲:田村虎蔵)の五番にも次のように歌われています。

 

鬼が忘れた打ち出の小槌

打てばふしぎや一寸法師

ひと打ちごとに背がのびて

今は立派な大男

 なぜ、打ち出の小槌は不思議な力を持つと考えられたのでしょう。申すまでもなく、「鎚」はハンマーで、物を打ちつけるときに使う道具です。これは想像ですが、大工仕事など何かを作り出す、つまり何かを生み出すときにこの鎚が使われるところから、望みのものを生み出す力を持つ道具というイメージが生じたのかもしれません。

 こんな小槌の不思議を取り上げた絵本として、かこさとしさんの『だるまちゃんとだいこくちゃん』(福音館書店)があります。子どもにとても人気のある「だるまちゃん」シリーズの一冊です。だるまちゃんの子どもらしい発想がかわいらしく、また色どりも美しい絵本なので、お薦めいたします。

 ところで、今年のお正月に、打ち出の小槌のキーホルダーを縁起物としてお出ししたところ、大変ご好評をいただきました。今後も機会があれば、小槌に関わるものをご案内できればと考えております。どうぞお楽しみに。

 

 

  

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